連載コラム!

NAUI × ずかんくん

沢山知って、ダイビングを
もっともっと楽しんじゃおう!

はじめまして!このたび『ダイビング指導機関NAUI宣伝隊長』に就任いたしました!海の生き物大好き!イラストを描くのが大好き!ずかんくんです!
広い海にはどんな生き物たちが暮らしているのか?『沢山知って、ダイビングをもっともっと楽しんじゃおう!』をテーマに、毎回登場する生き物を変えながらお話していきます!

ずかんくんプロフィール
再発行限定ずかんくんデザインCカードについてはこちら
ずかんくん

第5回 ずかんくんコラム 
8月のテーマ「クマノミ」

「クマノミ」

皆さんは、あの有名なアニメ映画の主人公が、何の種類の魚で、どんな名前なのかを正確に答えられますか?
そして海の中や、水族館でそのキャラクターを正確に見分けられますか?

「1ハマ2クマ3カクレ」体にある白い線で見分けよう

ハマクマノミハマクマノミ
クマノミクマノミ
カクレクマノミカクレクマノミ

スキューバダイビングでインストラクターさんから、「1ハマ2クマ3カクレ」と教えてもらったことがあります。クマノミをダイビングで見たときに、どの種類か迷ったときは、体にある白い線の数を数えましょう。ハマクマノミだったら1本、クマノミだったら2本、カクレクマノミだったら3本となります。どのクマノミなのか、どんなふうに覚えたらいいか分からないよ~って思ったらまずは代表的な3種!「1ハマ2クマ3カクレ」と、覚えてみましょう。

クマノミの仲間はカラフルでキレイな種類が多く、体の大きさも小さめで、さらにはひらひらとした独特な泳ぎ方がとてもかわいらしく、世界中で愛されています。泳ぎ方がまるで、おどけたピエロのような動きであることから、英名で「クラウン(ピエロ)フィッシュ」と付けられています。和名の「クマノミ」は、ヒレの黒い縁取りやオレンジと白の縞模様が、歌舞伎の化粧である「隈取り(くまどり)」と似ていることからきていると言われています。他にもクマノミを「隈の魚」と書くことからクマノミがイソギンチャクに隠れる習性を表しているとも言われます。「隈」には奥まったところの意味があり、「ミ」は古語で魚を意味しています。

クマノミはスズメダイ科の仲間に属していて、世界中のサンゴ礁や岩礁で暮らしています。体は卵型で平たく、小さな口でプランクトンや小動物、藻類を食べています。

クマノミは世界中に約28種類ほどいて、日本ではそのうちの6種類を見ることができます。世界中のクマノミは日本のクマノミと色や模様が違うものなど様々ですがどこの国でも愛されている海の人気者です。

あの人気者はカクレクマノミではない?!

グレートバリアリーフが舞台であり、オレンジが濃く、体にある白い線の黒縁が太いことから、実はカクレクマノミではなく「イースタン・クラウンアネモネフィッシュ」という、別の種類のクマノミの仲間ではないかと考えられています。

クマノミとイソギンチャクの関係

イソギンチャクには、刺胞と呼ばれる毒の棘を発射する触手を持っています。
魚たちはそのことを知っているので近寄ることもしませんが、クマノミは体が埋もれるくらいイソギンチャクに触れています。
なぜ刺胞に刺されず、一緒に暮らせるのでしょうか?
その理由はクマノミの体にあります。
クマノミの体は特殊な粘液に覆われていてイソギンチャクの毒に刺されないようになっているのです。クマノミはイソギンチャクに身を守ってもらい、イソギンチャクはクマノミが食べ残したものにあやかるなど、クマノミがいることで大きく成長できると考えられています。
違う生物同士が、双方に支え合い過酷な海を生き残るこの関係性を「共生」と呼びます。
クマノミは他の生物から自分の卵を守るためにイソギンチャクのそばで卵を守り、育てています。

クマノミは群れで暮らす

一つのイソギンチャクで暮らすクマノミの仲間の群れは、それぞれがたまたまそこにたどり着いただけで血のつながりはありません。これらの集団をコロニーと呼んでいます。

クマノミは群れで暮らすコロニー

クマノミの性別のヒミツ

クマノミは生まれてきたときは「両性生殖線」というものを持っていてオスでもメスでもありません。成長していくにつれ、だいたいはオスになるのですが一番大きいものが一尾だけメスになります。そして一番大きいオスとペアになって産卵をします。では一番大きなメスが死んでしまったらどうなるのでしょう?その場合はなんと次に大きなオスがメスへと性転換するのです!
これらはクマノミが、より多くの卵を残すためにとる生き残り戦略だと考えられています。クマノミは効率よく子孫を残すために「性転換」をするとっても不思議な魚なのです。先にまず、オスとして成熟して繁殖した後、メスに性転換して繁殖することを「雄性先熟性(ゆうせいせんじゅくせい)」と呼びます。雄雌のペアのうち、体の大きい方がメスになり繁殖した方がより多くの子孫を残せるため、このように進化したと考えられています。

ペアのクマノミペアのクマノミ

家族や親戚だと思っていたクマノミの群れが、それぞれ実は全然関係ない個体の集団だったり、お母さんが死んでしまったら、お父さんがお母さんに変化してしまったりと、クマノミには見た目からは分からない、奥深く、不思議な秘密が沢山あることを知っていただけたでしょうか。海の中や水族館で、クマノミの仲間を見かけたとき、観察がより面白くなりダイバー同士でのクマノミトークが、とても楽しくなると思います。今回ご紹介した以外にもクマノミには秘密がまだあるのかもしれません。沢山クマノミの仲間に会ってさらなる「不思議」を探してみてくださいね。

クマノミの幼魚クマノミの幼魚

それぞれのクマノミが好きなイソギンチャク

カクレクマノミ・・・ハタゴイソギンチャク
クマノミ・・・サンゴイソギンチャク
ハマクマノミ・・・タマイタダキイソギンチャク
ハナビラクマノミ・・・シライトイソギンチャク
セジロクマノミ・・・ハタゴイソギンチャクorシライトイソギンチャク
トウアカクマノミ・・・イボハタゴイソギンチャク

ハナビラクマノミハナビラクマノミ
トウアカクマノミトウアカクマノミ
(参考文献・引用書籍)
・小学館図鑑NEO 魚(小学館)
・小学館の図鑑Z 日本魚類館(小学館)
・ポプラディア大図鑑 魚(ポプラ社)
・学研の図鑑 Live 魚(Gakken)
・講談社の動く図鑑move 魚(講談社)
・山渓ハンディ図鑑13 改訂版 日本の海水魚(山と渓谷社)
・山渓カラー名鑑 日本の海水魚(山と渓谷社)
・世界で一番美しい海のいきもの図鑑(創元社)
・日本産魚類生態大図鑑(東海大学出版会)
・日本産魚類検索 全種の同定 第三版(東海大学出版会)