連載コラム!

NAUI × ずかんくん

沢山知って、ダイビングを
もっともっと楽しんじゃおう!

はじめまして!このたび『ダイビング指導機関NAUI宣伝隊長』に就任いたしました!海の生き物大好き!イラストを描くのが大好き!ずかんくんです!
広い海にはどんな生き物たちが暮らしているのか?『沢山知って、ダイビングをもっともっと楽しんじゃおう!』をテーマに、毎回登場する生き物を変えながらお話していきます!

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ずかんくん

第2回 ずかんくんコラム 
5月のテーマ「ウミガメ」

皆さんがダイビングを始めたきっかけは何ですか?

僕は海の中に住んでいる野生のウミガメに逢って、一緒に泳いでみたいと思ったことが、ダイビングを始めたきっかけでした。そして大人になり、ダイビングを始めたことでウミガメと一緒に海の中で泳ぐという夢を叶えることができました。ウミガメと一緒に泳いでみたいという気持ちは、幼少のころまでさかのぼりますが、僕にとって生まれて最初に知り、そして好きになった海の生き物がウミガメだったのです。ウミガメと言えばやっぱり幼少のころ、親に読んでもらった「浦島太郎」の物語です。

昔~昔~浦島は~♪ 助けた亀に~連れられて~♪
竜宮城に行ってみれば~♪ 絵にも描けない美しさ~♪

あまりにも有名な浦島太郎の歌の一節ですが、竜宮城はどんなところだろう?
絵にも描けない美しさとはどんなところだろう?
ウミガメに僕も逢ってみたいな。
というように、物語で海の中へ連れて行ってくれるウミガメを好きになっていったわけです。
ダイビングで逢うことができる、ウミガメの仲間たちはどんな生態をしているのか、ダイビングライフがより楽しくなるよう詳しく紹介します。

ダイビングで逢うことができるウミガメの仲間

「アカウミガメ」

アカウミガメは世界中の亜熱帯、温帯域に生息していて、5月~8月の夜間に、産卵をしに日本の海にもやってきます。1回に100個近くの卵を産卵します。なかには1シーズンに6回産卵を繰り返すことがあり、一夏に500個以上の卵を産卵することもあります。産卵された卵は約二か月で孵化し、夕方から翌日の明け方にかけて、砂の中から子亀たちが這い出し、大海原へと旅立っていきます。九州より北で、産卵のために上がってくるのはアカウミガメです。

「アカウミガメ」
「アオウミガメ」

「アオウミガメ」

アオウミガメは世界の熱帯、亜熱帯の大陸沿岸や島の沿岸に広く分布しています。ウミガメの中でも草食性が強く、アマモなどの海藻(藻)類を食べています。そのためクチバシが、ギザギザとしたのこぎりのような形になっていて、海草(藻)をむしり取りやすい形になっています。甲羅は楕円形をしていて、放射線状の朝日模様やまだら模様など様々です。日本では、屋久島より南の南西諸島や小笠原諸島で産卵が確認されています。

「タイマイ」

タイマイは、ウミガメの中で最も熱帯性が高く、大西洋、インド洋、太平洋の熱帯、亜熱帯域のサンゴ礁などに分布しています。甲羅はきれいな、まだら模様になっており古くからべっこう細工の原料とされてきました。雑食性で、何でもよく食べ、サンゴ礁にいるカイメンの仲間をよく食べています。

「タイマイ」

産み分け可能!孵化中の温度で性別が決まります!

ウミガメは水中で生活をしていますが、爬虫類なので産卵のときは陸に上がります。子供は卵の中で、親と同じ姿になってから誕生します。爬虫類の多くは温度によって性別が決まります。アカウミガメの場合29度より高温になるとメスに、低温になるとオスになる割合が大きくなります。アカウミガメの繁殖行動は2月~3月に見られる交尾から始まります。産卵から2か月後に子亀たちはいっせいに砂の中から這い出してきます。這い出しは、外敵の少ない日没後から日の出前に多く見られます。這い出した子亀たちは、親亀のお腹の中にあった卵黄の栄養を体に蓄えてるためしばらくエサを食べなくても生きていけます。毎年、日本の太平洋に面した海岸から多くの子亀が大海原へと旅立ちますが、その後の生活史はこれまであまり解明されていませんでした。最近の研究では、遊泳力のない子亀たちは、まず黒潮に乗って太平洋の沖へと運ばれ、その後、北太平洋中央部の暖流と寒流が混じり合う水温20度ほどの、エサとなる生物が豊富に生息している海域に留まることが分かってきました。(名古屋港水族館ガイドブック引用)

アカウミガメの赤ちゃん

水中でじっくり観察してみよう

ウミガメの仲間は脚がヒレになっていて、泳ぐことがとても上手です。魚と違って肺で呼吸をする生物なので、ダイビング中や、船の上から、水面で息継ぎをしている様子を観察することもできます。たまに魚やエビなどに、体についた藻や小さな動物を食べてもらう姿や、海底の岩の間やサンゴの間でじっとして眠る姿を見ることができます。この姿はとてもかわいらしく、ダイバーの方にはぜひ見ていただきたい光景です。また、一見するとよく似ているアカウミガメとアオウミガメですが、海の中でじっくりと観察できるダイバーだからこその見分け方があります。

アカウミガメ

アカウミガメは海底の貝類やカニなどの甲殻類を食べて生活しているので、割と頭部が大きく発達しているという特徴があります。そしてアカウミガメは目と目の間の額の鱗は五枚で花のような特徴的な並びをしています。

対して「アオウミガメ」は、主として藻食なのでそれほど頭部は発達せず小さめで、どちらかというとやさしい顔つきをしている印象があります。そして額に縦長の鱗が二枚並んでいます。

アカウミガメ

タイマイの英名は、『ホークスビル』で、タカのくちばしを意味し、ほっそりとしていて尖ったクチバシが特徴です。頭部もほっそりしています。そして、額には鱗が四枚並んでいます。

アカウミガメ

甲羅はウロコのように重なっており、美しいために沢山の固体が乱獲され減ってしまいました。甲羅の縁はギザギザしています。一目瞭然の特徴です。

アカウミガメ

海を愛するダイバーは、日本の海の砂浜をウミガメのためにきれいにしよう

日本の海はウミガメにとって大事な場所です。アカウミガメは太平洋の北半球では日本の海岸でだけ産卵をします。特に、海草や海藻などアオウミガメの食べ物が豊富で生活しやすい環境です。日本の海岸を守ることは、ウミガメを守ることにも繋がります。ウミガメたちは海を漂うビニールゴミを、クラゲと間違えて誤って食べてしまうことが知られています。また、クラゲを主食として食べるオサガメという絶滅に瀕した希少なウミガメも、海で暮らしています。更に、先ほどご紹介したビニールゴミの問題ですが、アカウミガメもアオウミガメもクラゲをよく食べます。ダイバーは、ウミガメたちを守るためにもゴミが海へ流出しないように心がけましょう。産卵のための砂浜が日本全国で減っていることもあり、ウミガメたちは多くの危機に直面しています。更に、近年の地球温暖化により性比の片寄りも報告されています。ウミガメとの出会いを通して、環境問題にもぜひ興味を持っていただけたらとても嬉しいです。

(参考文献・引用書籍)
・小学館図鑑NEO「両生類・はちゅう類」(小学館)
・名古屋港水族館ガイドブック(名古屋港水族館)
・決定版 日本の両生爬虫類(平凡社)