あけましておめでとうございます!
今年は「辰年」ということで、ずばり「龍」の年です!
ということで縁起物の龍にちなみ、今年初めての海洋生物コラムは、海の世界の竜の子「タツノオトシゴ」をご紹介いたします!
NAUI × ずかんくん
沢山知って、ダイビングを
もっともっと楽しんじゃおう!
はじめまして!このたび『ダイビング指導機関NAUI宣伝隊長』に就任いたしました!海の生き物大好き!イラストを描くのが大好き!ずかんくんです!
広い海にはどんな生き物たちが暮らしているのか?『沢山知って、ダイビングをもっともっと楽しんじゃおう!』をテーマに、毎回登場する生き物を変えながらお話していきます!
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vol.17
「サンゴ礁の海」
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「海の誕生」
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「ウミウシ」
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「オオサンショウウオ」
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「サクラダイ」
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「カエルアンコウ」
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「ダンゴウオ」
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「タツノオトシゴ」
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「癒しのクラゲ水空間」
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「メガネモチノウオ(ナポレオンフィッシュ)」
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「チンアナゴ」
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「シャーク~サメの王国~」
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「クマノミ」
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vol.4
「マンタ」
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vol.3
「イルカ」
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vol.2
「ウミガメ」
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vol.1
「ジンベエザメ」
第10回 ずかんくんコラム
「タツノオトシゴ」
どんな魚?
タツノオトシゴは、「トゲウオ目ヨウジ科」の魚で、一見魚に見えないほど変わった見た目をしています。
長い吻(ふん)を持ち、その先にある口をスポイトのように使ってプランクトンなどを食べています。尾びれが無く、藻類などに巻きつけることができる尾部をもち、立ち泳ぎをします。
タツノオトシゴは馬の頭部のように見えるので「ウミウマ(海馬)」の別名もあり、英語では「シーホース(海の馬)」と呼ばれます。
頭部にある王冠のような突起は「頂冠(ちょうかん)」と呼ばれタツノオトシゴの種類を見分ける事にも役立てられています。
タツノオトシゴのオスはイクメン!!
オスの腹部にある「育児のう」と呼ばれる袋はとても発達していて、メスが輸卵管を差し込みオスの「育児のう」に卵を産みます。
ふ化までオスは、「育児のう」のなかで卵を守り育てます。
その後、オスの「育児のう」でふ化した稚魚達はオスにより、産み出されます。
産まれたばかりの稚魚はすでに親と同じ姿をして、すぐに尾部で海藻などに巻きつくことができます。
タツノオトシゴ夫婦が見せる「愛のハートリング」
メスがオスの「育児のう」に卵を産みつける際、向かい合っておなかをつけ合う姿勢が「♡」の形に見えるため、愛のシンボルとしての神秘的な姿として、観察されています。
タツノオトシゴはかくれんぼ名人!?
タツノオトシゴは身を守る術として、生息する風景にうまく溶け込むような「擬態(ぎたい)」の能力を幼魚のうちから使い、天敵の眼を欺いて厳しい海のなかを生き延びています。
体色も様々です。よーく見ないと探せないので、ガイドさんと一緒に、岩場の陰や水草のなかにうまく隠れたタツノオトシゴ探しを楽しもう!誰が速く見つけられるかな?
見た目が同じでも日本海側と太平洋側で種類が変わる?
- タツノオトシゴ」(太平洋側)体長)約10cm
- 頭部の突起は長く発達し、後方へ曲がっています。
沿岸の岩礁のガラモ場、内湾のアマモ場などに棲み、たまに流れ藻にも見られます。
- 「ヒメタツ」(日本海側)体長約8cm
- 北陸の越前や敦賀、熊本の水俣の海中で見られるタツノオトシゴの頂冠の形が従来タツノオトシゴのものと形が違うとされ、2017年にこれまでタツノオトシゴと分類されていた日本海側の種類が、「ヒメタツ」という別種であると発表されました。
形の違いにいち早く気がついたのは、あの有名な魚類学者の「さかなクン」です。
タツノオトシゴより頂冠が低く、ハナタツより背びれの基底付近に後方へ貼りだす突起があることで区別できるとされます。
他にも沢山いるタツノオトシゴの仲間たち
(クリックで詳細を表示)
「ハナタツ」(体長)約8cm
沿岸域の岩礁に生息する。浅場の藻場に多く見られ個体数も多めに見られます。
頂冠の長さや形、皮弁の有無や大きさ、体色は著しく個体変異に富みます。
長い間タツノオトシゴとされていましたが、別種の「ハナタツ」と分類されました。
「タカクラタツ」(体長)約12cm
岩礁や浅海域の砂底、小石底に生息しています。頂冠は低く、眼の上と鰓ぶたの後ろに1対の後ろを向いた棘があります。体色は茶系、白などで尾部を藻やヤギ類などに巻きつけます。
「オオウミウマ」(体長)約26cm
沿岸域の岩礁のやや深いところや、周辺の砂泥底の転石付近に生息します。
体色の変化が激しく黄色や淡褐色の個体もいます。水深40m以浅に生息し、海藻やムチカラマツ類などに尾部を巻きつけます。
「イバラタツ」(体長)約14cm
浅海の沿岸礁域、水深10mより深いところで、水深40以浅に生息します。
特徴的なイバラに覆われていて、体の骨板(こつばん)に沿って長い棘が発達します。
「クロウミウマ」(体長)約17cm
内湾の浅いところ、藻場などに棲み、汽水にも流れ藻にも見られます。
オスは多いときには1,000個近い卵を育児のうで守ります。
「サンゴタツ」(体長)約8cm
沿岸域の海藻や砂泥底で生息します。タツノオトシゴ属のなかでは小さな部類です。
吻が短く体の突起も、頂冠もあまり発達していません。
「ピグミーシーホース(通称)」(体長)約2cm 極小サイズ
成長しても2cmほどにしかならない、小さなタツノオトシゴの仲間です。
10種類ほどが存在すると知られています。体にヤギ類(サンゴの仲間)と同じような突起があり、これにより周りの風景にうまく溶け込み隠れています。
潮通しのよい岩礁や、サンゴ礁に生えているヤギ類(藻類)について暮らしています。
マクロダイバーの写真対象として大変人気があります。
<ピグミーシーホースの仲間たちに標準和名がついた!>
「ハチジョウタツ」
(学名)「Hippocampus japapigu(ヒポカンパス ジャパピグ)」(種小名「ジャパピグ」)
日本でしか本種は確認されなかったので「ジャパニーズ ピグミーホース」と呼ばれていましたが、2018年に和名が決まりました。
「カクレタツノコ」
(学名)「Hippocampus denise(ヒポカンパス デニセ)」
沖永良部島の沖合水深38mから発見されました。採集された個体は体長24mmのメスで、尾でつかまっていたサンゴの色に合わせてあざやかなオレンジ色でした。色に加えて体表にコブを有しサンゴにうまく擬態しています。とても見つけづらいことから「カクレタツノコ(隠れ竜の子)」と命名されました。
「ユリタツノコ」
(学名)「Hippocampus pontohi(ヒポカンパス ポントアイ)」
水深15mの海底から2個体(体長22mmのオスと体長17mmのメス)が採集されました。こちらは海藻に擬態しているのか、水の流れに合わせて体をユラユラ動かしていることから「ユリタツノコ(揺り竜の子)」と命名されました。
学名の代わりに用いられる生物の日本語名称。日本に分布、あるいは日本で記録された種に対して1つの和名(一語名)が与えられる。
「学名」とは
世界共通の動物種名(学術名称)のこと。全てラテン語、またはラテン語化された言葉で表記します。
漢方薬の材料として
中国では、ヨウジウオやウミテングの仲間を漢方薬に利用します。
特にタツノオトシゴ類には養殖されているものもあります。
粉末にしたり、煎じたりして服用します。
過度な利用により、乱獲されることもあり、絶滅が心配されています。
最後に
タツノオトシゴは、ずかんくんがイラストを描いて生態を発信したい!
ときっかけになった魚で、不思議な見た目以上に知れば知るほど奥が深い魅力的な生物です。
ダイビングで海中の風景に隠れたタツノオトシゴ探しは本当に楽しい体験なのでぜひ沢山の人にチャレンジしていただきたいです!
今年の干支は「龍」ということでタツノオトシゴを紹介させていただきました!
昇り竜のごとくダイビングの世界を盛り上げて参りましょう!
・小学館図鑑NEO 魚(小学館)
・小学館の図鑑Z 日本魚類館(小学館)
・ポプラディア大図鑑 魚(ポプラ社)
・学研の図鑑 Live 魚(Gakken)
・講談社の動く図鑑move 魚(講談社)
・山渓ハンディ図鑑13 改訂版 日本の海水魚(山と渓谷社)
・山渓カラー名鑑 日本の海水魚(山と渓谷社)
・世界で一番美しい海のいきもの図鑑(創元社)
・日本産魚類生態大図鑑(東海大学出版会)
・日本産魚類検索 全種の同定 第三版(東海大学出版会)
・国立大学法人 鹿児島大学HP 「研究成果 総合研究博物館(総合研究博物館と沖永良部島のダイビングショップがピグミーシーホースの2種を日本初確認~カクレタツノコとユリタツノコと命名)」